ストーリーテリングとは、童話や経験談などのストーリーを利用することで、自身の主張を相手により明確に伝えることができる手法を指します。ビジネスシーンにおいても、ストーリーテリングは重要なマーケティング手法として用いられ、商品を買ってもらったり、イベント集客する際など、様々なシチュエーションで活躍します。 今回はストーリテリングとはどういうものなのか解説するとともに、物事を「伝える」ことにおけるストーリーテリングの重要性をお伝えします。 ■ストーリーテリングとは何か？ まずはストーリーテリングとは何なのか知るところから始めましょう。 コトバンクにはこのように言葉の定義がされています。 語り手が物語を覚えて，聞き手に語ること．図書館では，公共図書館や学校図書館で子どもを対象に図書館員や教師が物語を語ることを指す．日本では，公共図書館で行われるお話し会の中で，読み聞かせや紙人形劇とともになされることが多い．いずれも子どもたちに読書に対する興味を持たせることを目的とする点では共通しているが，読み聞かせが本や絵本を書いてある通りに読んで聞かせるのに対し，ストーリーテリングは語り手が自分の言葉に直して語るところにその特徴がある．そのため，同じ物語でも語り手によって違った味わいを持たせることができ，また，聞き手の反応を見ながら語り口を変えていくことも可能である． 引用：コトバンク 少し難しいことが書いてありますが、要はストーリーテリングとは、「本題」に入る前段階として、聞き手に「話を聞いてもらえる姿勢」になってもらうためにするお話（ストーリー）といえます。 では、なぜストーリーテリングが必要なのでしょうか。 ■なぜストーリーテリングが必要なのか どうして「本題」を読ませる前に、別の話を語る必要があるのでしょうか。伝えたいことが「本題」に含まれているのであれば、さっさと「本題」を書いてしまったほうが良いはずです。 その理由は、「むき出しの主張」を人は聞いてくれないからです。 基本的に読み手は怠慢なので、書き手は『「どういう順番で」説明すると一番読み手の耳に届きやすいか』を工夫する必要があるのです。 また、文章を読むという行為は体力や集中力を使う作業なので、できるだけ読み手にストレスが掛からないよう配慮することも大切です。 これらを解決してくれるのがストーリーテリングです。 ■ストーリーテリングをすると何が起こるか ではストーリーテリングを用いると具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。 例えば、高性能なPCを両親に買ってもらいたいと考えているとしましょう。 しかし、そのまま「PCを買って欲しい！」と伝えたとしても、20万～30万円もする高価なPCを買ってもらえるとは限りません。 そこで、ストーリーテリングを用いて両親に訴えかけます。 「実は先週、朝起きたら、母さんが朝早く準備をしてパートに出かけていたのを見たの。その時、自分も少しでも早くお金を稼げるようになって、母さんのことを少しでも楽にしたいと思った。今の学校で動画編集のことを学んでいる。だから動画編集用の良いPCを買ってどんどん動画編集を練習したい。」 実際の体験と感情の変化を伝えることで、「PCを買って欲しい」というむき出しの主張から脱却でき、感情に訴えかけるメッセージになりました。 また、聞き手と自分の関係性を踏まえた導入をすることで、高性能なPCが必要になった過程を、聞き手の耳に届きやすい形で順序立てて説明できています。 このように、ストーリーテリングを有効に使えるようになると、今まで伝わらなかったことが伝わるようになるのです。 ■ストーリーテリングを利用して「伝えたいこと」を確実に伝える 価値のある発信とはあたらしい問題設定ができている発信です。 そしてあたらしい問題設定のできる発信とは、価値転倒が必要になります。 価値転倒とは具体的には下記のようなことです。 一般的には、既存のものではAである。しかし 実はBである。もしくはBになってしまった/Bになろうとしている。あるいはAであったものがBやCのケースもありえる。Aという 状態が解消されて、Bになったか、結局Aにもどってしまった。 このように「AからBになったと言われているが、実はCだった」や「AではなくBだといわれていたが、実はAだった」など、価値の「変化」を書くことになります。 少し言い換えますと、本当に価値のある発信をしたいと思った場合、必然的に物語性（ストーリー）を帯びてしまうともいえるでしょう。 問題があたらしく設定されたとき、なぜそれがあたらしい問いなのかを説明しないといけません。 そのため、書き手はその問いを新しく立てることの重要性を説明することになります。 … Continue reading 伝えたいことを伝える「ストーリーテリング」の重要性について解説